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だつ・おもいこみ

2024年1月29日 「脱・思い込み」 神戸女学院中高礼拝にて ルカによる福音書19章1〜10節

▼以前働いていたミッションスクールでも毎朝礼拝があり、説教は教師が輪番で担当し、時々近隣の牧師にも説教依頼をしていた。数学のS先生はザアカイの物語が好きで、当番の時は得意のギターを持参し、自作の「ザアカイの歌」を年に一回は歌っていた。生徒たちは「またか」、と苦笑していたが、サビはこんな歌だった−「俺はザアカイ、取税人の頭、急げザアカイ、チビだチビだザアカイ」。この歌詞に歌われているように、我々はこの物語に固定観念を持っていると思う。ザアカイという名、彼は背が低かったこと、職業は周りから嫌われている徴税人であったこと、そして、イエスと出会って回心し、不正に儲けたお金は以後返します、と誓ったことだ。
▼ザアカイは原語のギリシャ語では「ザカイオス」、英語では「ザッケアス」だ。「背が低い」と訳されている原語(μικρός)も、「年が若い」という意味もあり、ザカイオスが小男であったかどうかは定かではない。徴税人は聖書ではよく罪人とされていて、人々から嫌われていた卑しい職業である、と一般的には言われるが、イエスの時代の徴税人は、必ずしもそのような存在ではなかったようだ。徴税人はローマに請け負わされていた税金を自分で前もって支払い、ユダヤ人から取立てる時に多く取れば差額を儲けても、規定額を取れなければ自分が負担しなければならない。ザカイオスは金持ちだったとあるが、誰もが積極的に引き受けるような職業ではなかっただろう。
▼注目したいのは8節の言葉−「主よ、わたしは財産の半分を貧しい人々に施します。また、だれかから何かだまし取っていたら、それを四倍にして返します」。ザカイオスは徴税人としてあこぎな取立てをし、不正に富を積んできた金持ち。その彼がイエスに受け入れられたことで回心し、今後は自分の財産の半分を貧しい人に施し、騙し取っていた人には四倍にして返すと誓った。そこでイエスは「今日、救いがこの家を訪れた」と言った。我々はそう思ってきたのではないか。
▼この発言は現在形に見えるが、言わんとすることは「これからは、財産を施しますし、四倍にして返すことにします」という未来の意味だ。ところが、原語のギリシャ語も(δίδωμι, ἀποδίδωμι)、英語も(give, restore)現在形が使われている。その意味するところは、「私は財産の半分を(普段から)貧しい人々に施しています。また、誰かから何か騙し取っていた場合には、それを(普段から)四倍にして返しています」ということだ。もしザカイオスの発言がそのようなものであったなら、我々が持っていた思い込みは一気に吹き飛んでしまう。彼はイエスに出会って回心したどころか、以前から自分の余分に儲けた金を人に寄付し、誤って不正な取立てをした場合には利息をつけてきちんと返す、ということをしていた、そのような徴税人であったことになるからだ。
▼イエスの噂を聞いたザカイオスは、その姿を一目見ようと、木の上に登った。それを見つけたイエスが言う−「ザカイオス、急いで降りて来なさい。私は今日、どうしてもあなたの家に泊まらねば(共に飯を食い、大いに語り合わねば)ならないのだから」。イエスの方も、それこそ評判の悪い徴税人の中にあって、不正な取立てをするどころか余分に儲けた金を寄付しているという「アブラハムの子」ザカイオスの噂を聞いており、実はイエスの方が捜していたのではないか。
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