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わかちあいのゆたかさ

2023年7月2日 礼拝メッセージ要旨『分かち合いの豊かさ』  マタイによる福音書20章1〜16節(マタイ講解61) 山田雅人

▼以前勤めていたミッションスクールに、校内美化作業があった。普段は教師とPTAの保護者でやっていたのだが、ある年、かつてのように生徒を参加させようと、校長が生徒たちにこう呼びかけた−「今度の土曜日に、朝9時から12時まで草刈りをします。参加者にはお弁当と飲み物が出ます」。要するに弁当と飲み物で釣ったわけだが、さてどれくらいの生徒が集まるかと思っていたら、当日少しずつ生徒がやって来た。最初に8時半頃から早々とやって来たのは、高校2年生の「奉仕部」のメンバー数人。さすが奉仕部、真面目だ。そして、8時50分ころになると可愛い中学生たちがちらほらやって来た。結局全部で20人くらいの生徒が集まり、9時になって作業開始。まず校舎の周りの道沿いや溝の草刈りから。機械を使わずに手でむしっていくのはなかなか大変だ。10時になった。一時間草むしりしただけで生徒たちは汗びっしょりだ。すると、高校一年生が遅刻して何人かやって来た。遅れて来ても人手は多いほど助かるから大歓迎だ。草むしりが終わると、今度は中庭で、教師たちが機械で刈った草を集めて一輪車に乗せて運ぶ作業。これも重労働だ。11時、11時半になり、もうすぐお昼だ。お腹も空いたが作業は予定の12時には終わりそうにない。そうこうしていると何と、普段からあまり生活態度の良くない、高校3年生が何人かやって来た。「お前たち今頃来てんのかあ。もうすぐ終わるのにい。」と教師たちに文句を言われながらも、30分だけ手伝ってくれ、12時半頃やっと作業終了。「みんなお疲れ様」と言って弁当と飲み物が配られる。校長が、遅れてきた高3の生徒に「ほい、君ら、ちょっとしか手伝えなかったけど、まあよく来たわ、お疲れさん」といって自ら弁当を渡していた。「ぶどう園の労働者の譬え」を読むと、いつもこの経験を思い出す。
▼イエスがこの譬えを語ったのは、小規模農民、職人、季節労働者、そして取税人や娼婦といった「罪人」を含むガリラヤの民衆であったろう。聴衆のほとんどが理不尽さを感じたであろうこの譬え話だが、それまで罪人として蔑視されていたにもかかわらず、イエスによって始めて受け入れられた経験を持つ人々は、そうは思わなかったのではないか。彼らには「一時間しか働かなかったのに一日分の給料を与えられた人たち」の気持ちが分かったことだろう。この立場に立つ人にとっては、感謝の気持ちこそ湧いてきただろうが、他に対する不平や不満を持つということはなかっただろう。そしてまたその感謝の思いが深いほど、明日からはこの主人の好意に答える形で一生懸命働こうという思いを自発的に抱いたことだろう。
▼あの真面目な奉仕部の生徒も、今度は寝坊して遅刻することがないとも限らない。体力があり、健康で、朝一番から雇われたあの労働者たちも、やがて病や年齢を経て、仕事にあぶれてなかなか雇ってもらえない時が来ることだろう。そのときに、校長が前回遅れてきた生徒に対してとった同じ態度で「まあ、遅れることもあるわな」と言ってくれたら、校長に不満タラタラだった自分たちのかつての態度が恥ずかしくなるだろうし、今度自分が最後に雇われることになり、1時間しか働かなかったにもかかわらず主人が1デナリオンをくれたら、やはり嬉しいだろう。彼らはその時に初めて、かつて遅れてきた高校3年生の気持ち、そして、最後に雇われたにもかかわらず1デナリオンをもらった者の気持ちが分かるのだろう。
▼実にこれこそが、イエスの語った「福音」(=良い知らせ)と「律法」との関係だ。そこでは福音が先行しているのであって、律法が満たされた時に初めて福音が与えられるというのではない。信仰生活が長い者は、短い者よりもたくさん神の恵みを受けるのだろうか。あるいは、受ける恵みが一緒ならば、長い間信仰生活を送ると損をすると思うのだろうか。信仰の歩みをすすめるということは、その歩みそのものが恵みの時であるということではないか。そして、そこからさらに何かの恵みをいただくかどうかということは、この物語の気前のいい主人のように、ただ神の御心のままにあることなのだろう。


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