聖書と共に
みえないどだい
２０２２年７月１０日 「見えない土台」 マタイによる福音書 ７章 24〜29節(マタイ講解��) 山田雅人
２０２２年７月１０日 礼拝メッセージ要旨 「見えない土台」
マタイによる福音書 ７章 24〜29節(マタイ講解��) 山田雅人
▼「家と土台」の譬え話は、マタイでは「岩の上に家を建てた人」と「砂の上に家を建てた人」が比べられているが、ルカ福音書の並行箇所は、地面を岩盤に達するまで深く掘ってしっかり土台を据えて建てた家と、地面を掘ることなくそのまま土の上に建てた家を比較している。
▼「わたしのこれらの言葉を聞いて行う者は皆、岩の上に自分の家を建てた賢い人に似ている」(24節)、「わたしのこれらの言葉を聞くだけで行わない者は皆、砂の上に家を建てた愚かな人に似ている」(26節)。「イエスの言葉を聞いてそれを行うこと」が「岩の土台」に譬えられている。そして、｢聞いても行いの伴わない人｣のことを「砂で出来た土台」に譬えているので、「行い」が「建物の土台」を指していることになる。
▼さらに、21節の「わたしに向かって『主よ、主よ』と言う者が皆、天の国に入るわけではない。わたしの天の父の御心を行う者だけが入るのである」が最初のイエスの問いかけであるから、それをこの譬えに当てはめれば、「主よ主よ、と呼ぶこと」＝「イエスを主と告白する信仰」とは、建物の上物・建築物を指していることになり、その土台となるのが「行い」だということになる。つまり、イエスの言葉を聞いて行うその「行い」という土台がなければ、いくらイエスの言葉を聞いて主よ主よと呼ぶ信仰があっても、それはひとたび洪水が起これば押し流されてしまうような信仰に過ぎないのだと言っているのだ。
▼これはある意味意表を突いた譬えではないだろうか。我々はむしろ、信仰というしっかりとした土台があって、はじめてその上に行いという建物が建てられるのだと考えるだろうからだ。信仰の話でなくても、例えば、まずしっかりとした思想や理論、理念というものを基盤として、その上に実践という上物・建築物が建て上げられていくものだと私たちは考える。私は高校の担任に留学を勧められたが、父は「日本の大学で勉強してからでも遅くない」と言ったのを思い出す。
▼しかしこの譬えは逆だ―「わたしの言葉を聞くだけでなく、それを行う人は、岩盤に達するまでしっかりと土台を掘り下げて築く人。聞いても行わない、行いのない人は土台のない人だ」。建物の土台は目に見えるものではないから、目に見えない行いこそが土台であり、その上にはじめてしっかりとした建物が建つのだということになる。人の眼に触れることのない隠れた行い、目に見えない、目立たない小さな行いの積み重ねが、私たちの土台だと言うのだ。
▼６章１節以下のイエスの言葉を思い出す−「見てもらおうとして、人の前で善行をしないように注意しなさい。・・・施しをするときは、右の手のすることを左の手に知らせてはならない。・・・そうすれば隠れたことを見ておられる父が、あなたに報いてくださる」。イエスの言葉に聞き従う愛の行為、人目に触れず目立たない日常の隠れた小さな行いこそが、洪水にも押し流されることのない確かな人格の基礎を造り上げるのだということだ。
マタイによる福音書 ７章 24〜29節(マタイ講解��) 山田雅人
▼「家と土台」の譬え話は、マタイでは「岩の上に家を建てた人」と「砂の上に家を建てた人」が比べられているが、ルカ福音書の並行箇所は、地面を岩盤に達するまで深く掘ってしっかり土台を据えて建てた家と、地面を掘ることなくそのまま土の上に建てた家を比較している。
▼「わたしのこれらの言葉を聞いて行う者は皆、岩の上に自分の家を建てた賢い人に似ている」(24節)、「わたしのこれらの言葉を聞くだけで行わない者は皆、砂の上に家を建てた愚かな人に似ている」(26節)。「イエスの言葉を聞いてそれを行うこと」が「岩の土台」に譬えられている。そして、｢聞いても行いの伴わない人｣のことを「砂で出来た土台」に譬えているので、「行い」が「建物の土台」を指していることになる。
▼さらに、21節の「わたしに向かって『主よ、主よ』と言う者が皆、天の国に入るわけではない。わたしの天の父の御心を行う者だけが入るのである」が最初のイエスの問いかけであるから、それをこの譬えに当てはめれば、「主よ主よ、と呼ぶこと」＝「イエスを主と告白する信仰」とは、建物の上物・建築物を指していることになり、その土台となるのが「行い」だということになる。つまり、イエスの言葉を聞いて行うその「行い」という土台がなければ、いくらイエスの言葉を聞いて主よ主よと呼ぶ信仰があっても、それはひとたび洪水が起これば押し流されてしまうような信仰に過ぎないのだと言っているのだ。
▼これはある意味意表を突いた譬えではないだろうか。我々はむしろ、信仰というしっかりとした土台があって、はじめてその上に行いという建物が建てられるのだと考えるだろうからだ。信仰の話でなくても、例えば、まずしっかりとした思想や理論、理念というものを基盤として、その上に実践という上物・建築物が建て上げられていくものだと私たちは考える。私は高校の担任に留学を勧められたが、父は「日本の大学で勉強してからでも遅くない」と言ったのを思い出す。
▼しかしこの譬えは逆だ―「わたしの言葉を聞くだけでなく、それを行う人は、岩盤に達するまでしっかりと土台を掘り下げて築く人。聞いても行わない、行いのない人は土台のない人だ」。建物の土台は目に見えるものではないから、目に見えない行いこそが土台であり、その上にはじめてしっかりとした建物が建つのだということになる。人の眼に触れることのない隠れた行い、目に見えない、目立たない小さな行いの積み重ねが、私たちの土台だと言うのだ。
▼６章１節以下のイエスの言葉を思い出す−「見てもらおうとして、人の前で善行をしないように注意しなさい。・・・施しをするときは、右の手のすることを左の手に知らせてはならない。・・・そうすれば隠れたことを見ておられる父が、あなたに報いてくださる」。イエスの言葉に聞き従う愛の行為、人目に触れず目立たない日常の隠れた小さな行いこそが、洪水にも押し流されることのない確かな人格の基礎を造り上げるのだということだ。
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投稿日：2022年9月30日() 閲覧回数：471