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いのちにつうじるもん

2025年8月17日 礼拝メッセージ要旨 「命に通じる門」 ルカによる福音書 13章 22〜30節(ルカ講解69)山田雅人

▼「狭い戸口から入るように努めなさい」(24節)−この言葉は並行箇所のマタイ福音書7章13節で、山上の説教の中でイエスが「狭い門から入りなさい」と語っているので、そちらの方が知られているだろう。ただ、マタイの方ではイエスがどのような状況の中でこの言葉を語ったのかは記されていないので、抽象的な言葉に聞こえる。しかし、ルカによる福音書では、出だしにはっきりと「イエスは町や村を巡って教えながら、エルサレムへ向かって進んでおられた」と書かれているので、この時イエスはエルサレムの都を指差しながら「あの狭き戸口より入れ」と言われたことが想像できる。ルカはマタイの「門」を「戸口」に書き換えているが、これは、神の国に入るのに家の主人が戸口に立って開け閉めをするというたとえ話に仕立てているためだろう。
▼都エルサレムは周囲を堅固な城壁で囲まれた要塞都市で、城壁の門を通らなければ中には入れなかった。現在も旧エルサレム市街として8つの城門が残っており、正面には最も荘厳な「黄金門」と呼ばれる広い門がある。大手を振ってそこを出入りするのは、社会的に認められ、律法に従い自らを誇っていた律法学者やファリサイ派、町の有力者である長老たちだ。対極的に、一番狭い門は「糞門」あるいは「不浄門(汚物門)」と呼ばれた門である。糞門はエルサレムの南側の一番標高の低い場所にあり、当時は人やロバがやっと通れる程の小さな門であった。糞門のまわりの地域は羊飼い、食肉業者、皮なめし職人など汚れた職業とされた人達がたむろし、彼らが専ら出入りする門としても糞門は用いられていた。
▼こうした貧しい者、汚れの烙印を押された者達が、腰をかがめ、小さくなってくぐったのが糞門である。「狭い門から入れ」と言ったイエスは、実にこの糞門のことを指してそう言ったのだろう。エルサレムの城内から出た糞尿や動物の死体などが投げ捨てられ、周辺には差別された病人や物乞いの人々の居住区がある糞門。汚れを押しつけられたその人たちと共に、その低く狭い門を肩を並べてくぐりなさい、そうイエスは言ったのだろう。
▼狭き門から入れと言われたイエスは、マタイの並行箇所で、続けてこう言っている−「しかし、命に通じる門はなんと狭く、その道も細いことか。それを見出す者は少ない」。「それを見出す者は少ない」と言っている。つまり狭い門とは、見出す者が少ない門、見つけにくい門ということだろう。より具体的には、狭き門から入れとは、見向きもされない、見捨てられた人たちの、その存在に目を向けなさいということだろう。
▼イエスの言うこのことこそが、世の誉れ、地位や名声、富にまさって余りある価値がある、「命に通じる門」なのだということを、改めて心に刻みたい。

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